芸術としての書を愉しみたい、書で感性を磨きたい、という方におすすめなのが、下町の面影を色濃く残す台東区根岸にある『書道博物館』です。同館は洋画家であり書家でもあった中村不折(1866〜1943)が、40年以上にわたり独力で菟集した、中国、日本の書道史の研究上、重要なコレクションを有する専門博物館。重厚な構えの建物は、昭和11年の開館以来、約60年にわたって中村家の手で維持、保存されてきましたが、平成7年に台東区に寄贈され、これを受け区が増改築し平成12年に再開館しました。
本館には金石学に密接な関係のある、古美術品、考古出土品などの収蔵品を常設展示しており、書の歴史をたどる上で重要な資料を見ることができます。併設された中村不折記念館には、紙本墨書類や不折の作品、関係資料も展示しています。年に5〜6回、収蔵品の中からテーマに沿って選んだ特別展・企画展も開催されているので、こまめに足を運ぶ人も多いそうです。
下町散策をしながら、高い芸術性を持つ名品の書に触れて、漢字文化の奥深さを味わってみるのも一興でしょう。 |